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彼方の宝石のような…
御茶ノ水のgallery bauhausに小瀧達郎さんの写真展「VISIONS OF UK 英国に就いて」を観に行って来ました。ギャラリーを訪れるのはこれで三度目ですが、本当に心地よい空間です。ふだん田舎に引き籠もって暮らしていると都会の喧噪はそれだけで脅威です。その上「展覧会」と名のつく催しは会場が広すぎ、展示点数も見に来ている人も多すぎて疲れてしまうのが常で、足は遠のくばかりでした。それが、ここは全てがちょうどいいのです。写真と空間とが心地よい緊張のもとに調和し、濃密な作品世界が醸成されています。その中に身を浸すようにして、一枚いちまいの写真とじっくり向きあうのは、それはそれは幸福な時間でした。
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1970年代後半から80年代にかけて撮影された英国ブライトンの風景。小石の海岸にたむろするモッズの若者たち。海を見つめる人びと。パレスピアと呼ばれる海に突きだした桟橋。桟橋の上にはブラッドベリの世界を思わせる不思議な遊園地。遊園地の中の生き物じみたHelter-skelter(らせん滑り台)。ジョージ4世が夏の離宮として建てたというエクゾティシズム満載のロイヤル・パビリオン…。美しいモノクローム・プリントに封じ込められた世界は、現世(うつしよ)の喧噪を遠のけてしんと静まりかえり、その限りない静けさの中では永遠が、彼方の宝石のように結晶しているのでした。

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「VISIONS OF UK 英国に就いて」は今月26日まで開催されています。
by saltyspeedy | 2009-12-12 03:25 | おでかけ
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