2007年 12月 05日 ( 1 )
ここは地獄の1丁目
週の真ん中水曜日。リハビリも佳境に入る水曜日。
よく、ダイエットなんかでぶち当たる壁。それまで順調にするすると体重が減っていたのに、まったく減らなくなる。そんな日が何日も続く。
それと同じことがリハビリにもあるのだった。
今まで目指し、難なくとは言えないまでも、クリアした足首の角度90度。垂直に足を着いたときの角度。これを0度としたときに、私たちの足はさらにマイナス20度ぐらいは曲がる。
これが曲がらなければ、スムースに足を運べないし、坂道だって登れない。
主治医のGOサインはでた。すなわち、「骨はダイジョーブ。どんどん曲げちゃってー」ということだ。
90度から先は未知のゾーンだったから、リハビリの先生も最初は様子を見ながらじわじわ曲げる。
足首、ミシミシいう。
私、耐える。
「かたいねえ。私の手の方がいかれそう」と先生。
先生、私、ふーーーっと一息。
「さて。では、いきますかー」と先生。
まず、縮こまった関節を引っ張って引っ張って伸ばす。
足がぬけるーっと思った瞬間、親指のつけ根付近を中心にマイナス方向の力が加わる。
実は普段の私は、ここで笑い声をあげている。
痛みがある閾値を超えると、思わず笑ってしまうのだった。
「うひゃはははー」
すると、周囲のおじさんたちからは、「楽しそうでいいね」の声があがるが、骨折小学生は、見てはいけないものを見てしまったようにドン引きしていたものだった。
「いま90度ぐらいね」と、先生。
「え、まだ90度なの?」と思った瞬間、先生が腕を入れてぎゅうぎゅう押しだした。
軋む足首。折れる。潰れる。砕ける。
私、「うおおおおおーーーう」
獣のような咆哮が、午後のリハビリ室に轟き渡る。
「すごいね」周囲から歓声?があがる。
それどころじゃないよ。
私、息を整える。
先生、「お、これは、いきそうだよ。5度、いや3度ぐらいいったかな?」
私、「さ、さんどですか?」
さんしちにじゅういち.....これの7倍目指すってこと?
と気が遠くなりかけたそのとき、再びめりめりきた。
「んがーーーー」
「だーーーーあ」
「おーれーまーすうー」
「うううう、もうだめ」
ばったり。
先生、「あ、こわれちゃった」
私、「...人格が崩壊しました。砕けた距骨みたいに。拾い集めてくっつけます」
先生、「いいでしょう」
パッヘルベルのカノンが低く流れるリハ室で、装具をつけながら、人格の欠片を拾い集めながら、私は心の中で口ずさむ。
「ここは地獄の一丁目〜」

つづく
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by saltyspeedy | 2007-12-05 22:01 | リハビリ