我が世の春といわんばかりに桜が満開だけれど、相変わらず気分は低空飛行。桜の季節になるといつも、故杉浦日向子さんの傑作漫画『百物語』のなかの、大の桜嫌いの男の話を思い出してしまう。
桜を眺めるのも桜餅を食すのも大の好物というその男の娘は、花を愛でた帰りには、父に気を遣って湯屋(銭湯)に寄り、体についた桜の香を落として帰るのだとか。「桜が三日で終わる花で幸いだ。椿なら三月も咲く処だ」と、語り手のご隠居が落としたところで、話は終わる。 リアリティとはひとえに細部の積み重ねの上に存在するものだけれど、「説明」せずに細部を書ける/描ける人って、なかなかいない。「それを言っちゃあ、お終えよォ〜」ってことを平気で書いちゃう人のなんと多いことか(自分を含めて。こんなことを書いていること自体、野暮の極みに違えねぇや)。というわけで、どこかに居るかもしれない桜嫌いの人、ご愁傷様。でも、熱が下がるように、じきに花の時期は終わりますから。 今年つくづく感じたことは「桜なんか写すもんじゃない」ということ。 思わず「あっ」と息を飲むあの感じは、私なんぞに到底とらまえられるもんじゃない。写した写真を見て感じたガッカリ感たるや…、子どもの発表会のときと一緒だ。 発表会も桜も、これからは目の奥でシャッターを押し、からだ全体に浴びることにしようと思う。(と言いつつ、とらまえたい誘惑に勝てない気もするのだけれど…)
by saltyspeedy
| 2009-04-08 22:05
| よしなしごと
|
カテゴリ
ごあいさつ speedy おでかけ 日々の糧 特別なこと ぐるりのこと よしなしごと 放牧 海のいきもの 花・植物 記憶のドアー Hさんの日記 リハビリ AXELA Mac 灯台 スケッチ 動物たちのこと 夢の断片 アリシャ 犬のこと スピとアリ タグ
海(160)
季節の便り(75) 夕景(70) サルーキ(66) 散歩(56) 空(30) 夕日(30) 植物(29) 風景(29) パノラマ(26) 雲(25) 地魚(22) 富士山(22) ドッグラン(21) 桜(17) 日々(14) いきもの(12) レシピ(12) リハビリ(10) 音楽(9) 以前の記事
2016年 04月 2015年 02月 2014年 01月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 検索
その他のジャンル
記事ランキング
画像一覧
|
ファン申請 |
||