先週の土曜は車で府中へ行ったが、この日は電車でお茶の水へ。
ゼラチン・シルバー・プリントは本当に美しい。
じっと見入っていると、密度が詰んだ結晶世界の中に入り込んだかのような不思議な感覚になる。時に、色々な音が聞こえて来たりもする。
スペインの村の素朴な平パン、カントリー・ドクターの額、スミスの愛娘ワニータ(あの有名な「楽園への歩み」の女の子)の睫毛のなんと雄弁なことだろう。
特殊外科病棟の創外固定の写真は、足首に感覚が甦ってくるような怖さがあった。
フォト・ジャーナリズムは、あるがままの現実を写し出すものと思い込みがちだけれど、写真家の眼差しを写し出すものなのだなあ(あたりまえのことだけれども)。
一見、巧まざる効果のように見えて、緻密に計算されているのだ。