原久路さんの写真展「バルテュス絵画の考察 II」@gallery bauhausを観に行って来ました。画家バルテュスの代表作『美しい日々』をはじめとする絵画作品約20点を、モノクローム写真で「考察する」というちょっと異色の展覧会です。舞台は日本、モデルの少女はセーラー服姿ですが、大正ロマンの香り漂う洋館で、古い薬壜の並ぶ病棟で、天井に明かり取りのある手術室で、手足の角度から窓から差し込む光線にいたるまで緻密に作り込まれた世界は、時代や洋の東西を軽々と超えてイメージ世界を自在に行き来します。
画家が自然光のもとで描くことにこだわったように撮影もすべて自然光のみでおこなったそうです。写真に絵画的遠近法を取り入れるためにスモークを焚き、あるいは多重露光をし、画家の自画像である『猫たちの王』では写真家自ら学生服を身にまとい(三島由紀夫のようでした)『猫たちの友』となって登場するなど、あらゆる細部、それこそ学生服のしわ一つにいたるまで徹底したこだわりと美意識に満ちていました。
↑バルテュスの絵と写真展で購入した絵はがき
「まどのそとを…
ねこがとおった!」
『窓辺のスピ(Spi at a Window)』
↑バルテュスの『窓辺の少女』